議案74号「さいたま市役所の位置に関する条例の一部を改正する条例の制定について」の質疑

民主改革さいたま市議団の三神たかしです。議案第74号さいたま市役所の位置に関する条例の一部を改正する条例の制定について、通告に従い質疑する。
わが会派においては、市役所の位置について、従前から様々な議論を交わし、さいたま市の未来への責任を改めて自覚し、そして会派所属議員一丸となって、大きな覚悟と決意を持って本議案の審査に臨んでいる。

(三神)まず、市長に伺う。市長はどのような覚悟と決意を持って本議案の提出を行ったのか。市長の想いをお聞きする。また本議案の提出のタイミングとして、臨時会を開催して提出に至った経緯についても伺う。

<市長答弁>
まず、臨時会の開催経緯であるが、本議案の提出時期については、これまで「市の方針をしつかりと周知させていただいた上で提出させていただく」と申し上げてきたところであり、令和3年12月に新庁舎整備等基本構想を策定後、各区自治会連合会や近隣住民・商店の皆様への説明会、出前講座など、あらゆる手段を活用し、市民の皆様、企業・団体の皆様への周知に取り組んだ結果、市民の皆様に一定の周知が図られたと考えている。
また、先日4月13日に行われた市庁舎整備等検討特別委員会においては、委員から「位置条例について決断する段階に来た」との御意見をいただき、委員会後には、阪本議長、鶴崎委員長及び神崎副委員長から委員会の結果報告をいただくとともに、「臨時会の開催を含む位置条例改正案の早期提出」について強い要請をいただいた。
これらを踏まえ、これまで長きにわたり議論が重ねられてきた新庁舎の整備場所に関し、市議会において御判断いただく時期が来たものと判断し、このタイミングで「さいたま市役所の位置に関する条例の一部を改正する条例」議案を提出させていただくこととした。
私の決意として、本庁舎整備等の在り方については、本市誕生以来、残された大変重要な課題であり、私も就任以来、この課題に方向性を示すことを自らの責務として、本日に至るまで全力で取り組んできた。市制施行20周年を迎えた本市が、将来にわたり心をひとつに発展していくためには、この課題を先送りするわけにはいかないと考えている。
私としては、この議案が成立することが、本市の将来にとって必要不可欠であると確信しており、議会において、慎重なる審議の上、御承認いただきたいと考えている

(三神)市役所の位置については、さいたま市誕生以来の大きなテーマであった。そこで改めて、本議案の提出に至った経緯について伺う。

<都市戦略本部長答弁>
 特に、5年余り21回にわたり開催されたさいたま市本庁舎整備審議会では、「浦和駅周辺地区」及び「大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区」の2つの都心に含まれる「浦和駅」、「大宮駅」及び「さいたま新都心駅」のエリアをそれぞれ本庁舎の候補地区として設定し、「防災性」、「シンボル性」、アクセスの公平性を表すといわれる人口重心なども考慮に入れた「交通利便性」など、6項目の比較検討等が行われ、「さいたま新都心駅周辺(半径800m圏内)が最も望ましい」との答申を、平成30年5月にいただいた。
 その後、タウンミーティングやパブリック・コメントを活用した意見募集など、市民の皆様から広く御意見を伺い、多くの市民意見を反映する形で、「新庁舎整備等基本構想」について、令和3年12月に策定した。その後、あらゆる手段を活用し、市民の皆様、企業・団体の皆様への周知を図った上で、この度の条例議案の提出に至ったものである。

(三神)次に、議会での議論をどう受け止めたのかについて見解を伺う。市議会では、市庁舎等整備検討特別委員会を設置し、本市誕生の歴史的経緯や各地域の課題、市民意見への対応、そしてまちの将来など多角的な視点から、市役所の位置などについて激論を交わしてきた。委員会の議論を通じ重要な知見を提示したと考えている。市庁舎等整備検討特別委員会での議論を執行部はどのように受け止めているか。

<都市戦略本部長答弁>
市庁舎等整備検討特別委員会においては、特に本市の方針を表明以降、活発な御議論をいただいた。いただいた御意見については、真摯に受け止めさせていただいた上で、基本構想の内容や事業の進め方等について、可能な限り反映させていただいたところである。

(三神)その特別委員会での議論においてひとつの大きなテーマとなったのが、市民への説明の必要性についてである。市役所の位置については当然、市民理解のもと進めるべきものだ。市役所の位置を変更することに関し、市民に対してどのように説明を行い、どのような反応があったのか伺う。
また本議案については、現在市役所が存在する浦和区の区民の皆様にとっても重大な関心事であり、先の2月定例会においては、浦和区自治会連合会からの意見を踏まえ、市議会として「浦和区自治会連合会の意向を最大限尊重することを求める決議」を可決した。決議の可決以降、浦和区自治会連合会に対し、どのような対応を行ってきたのかについても伺う。

<都市戦略本部長答弁>
 市役所の位置の変更については、昨年12月の基本構想策定以降、各区自治会連合会や近隣住民・商店の皆様への説明会、関係団体等への周知・出前講座、また、市報、YouTube動画、概要版やチラシの公共施設や駅への配架など、あらゆる手段を活用し、市民の皆様への周知に取り組んできた。
 近隣説明会では厳しい御意見をいただくこともあったが、各区自治会連合会での説明や出前講座などでは肯定的な御意見を多くいただいくこともあり、全体としては、市の考え方に対し、一定の御理解はいただけたものと考えている。

(三神)私たちのもとには、市民の皆様から市役所の位置や新庁舎の整備に関し、様々な質問やご意見が寄せられている。例えば、

  1. 新庁舎の整備を考えるにあたり、移転整備と現地建て替えの比較検討を行ったのか?
  2. 多額の支出が必要となり無駄な費用がかかるのでは?
  3. 合併前に旧市の各市議会で可決した「合併促進決議」において謳われた「行政の中心」、すなわち「行政のまち浦和」という定義に反することになるのでは?

といったものだ。当然、市に対しても同様の質問や意見が寄せられているものと思うが、このような声に対し、どのような説明を行っているか伺う。

<都市戦略本部長答弁>
 庁舎の位置については、「防災性」、「シンボル性」、「交通利便性」など、本庁舎として必要な要素に照らした検討や全市的なまちづくりの観点からの検討を重視して、新都心への移転の方針を示している。
 そのため、御質疑の①現地建て替えとの比較検討については、詳細な検討は行っていないが、前提条件を置いた上で、通常考えられる課題について整理し、4月13日に行われた「市庁舎等整備検討特別委員会」に御報告させていただくとともに、市ホームページでも公表したところである。
 具体的には、仮に基本構想で想定する建物延床面積の最大値である6万㎡を前提として現地建て替えを行った場合、まず、現庁舎を取り壊して、敷地中央の現位置に建替えるケースでは、工事期間中に大規模な仮移転が必要となり、条件に合うテナントの確保が難航する恐れがあるほか、窓口・執務室等の分散化に伴う来庁者の利便性低下や事務効率の低下が懸念されること。さらに、隣接する住宅地への日影規制により高層建築が制約され、例えば、基準階3000㎡、20階相当の建物は建築ができないこと。
 また、仮移転が生じないよう、敷地南側駐車場に建て替えるケースでは、建物を建てられるスペースが限られており、土地利用上望ましくない配置となることや、建物が道路や周辺街区に接近するため、圧迫感やビル風など南側の周辺住民に対する影響が懸念されること。
 さらに、市役所と区役所を供用しながらの工事となるため、5年以上の長期間にわたり、利用者の利便性や事務効率が低下するとともに、利用者のための安全対策が必要となることをお示している。
 次に、②多額の無駄な費用がかかるのでは、については、市役所本庁舎は、都市経営を進める拠点であり、防災中枢拠点、効果的・効率的な行政運営などのため、必要不可欠なものである。お示ししている事業費については、本庁舎機能分の概算面積約4万3000㎡の規模に対し、他市の同種規模事例を参考に算定したものであり、過大であるとは考えていないが、新庁舎の規模等については今後の計画、設計の段階で精査してまいる。
 また、③「行政のまち浦和」という点について、総合振興計画の将来都市構造では「浦和駅周辺地区の目指す方向性」として、行政機能を担うとている。これは、市役所を含め、埼玉県庁や埼玉県警察本部、裁判所などといった官公庁施設の機能の総称であり、市役所移転後も本市の都市づくりの考え方に変更はない。
 浦和は約150年にわたって県庁所在地であり続けた歴史から、県都として誇りがある地域であると認識している。また、文化芸術や教育分野にも歴史がある地域と認識しており、現在策定中の(仮称)浦和駅周辺まちづくりビジョンや現庁舎地の利活用等を通じて、県都・文教都市の強みを生かしたまちづくりをこれからも一層進めてまいる。

(再質疑)建設費用については公民連携などあらゆる手段を用い、費用圧縮の努力をしていくべきと考えているが、再度見解を伺う。

<都市戦略本部長答弁>
三神尊志議員の再質疑にお答えする。財政負担の縮減は大事な観点であると考えており、民間機能との複合化や民間活力を活用した事業手法など、今後しっかりと検討を進めていく。なお、庁舎整備基金など計画的な積み立てや市債の活用を図るなど、最も有利な財源構成についても検討してまいる。


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