『助けて』が言える社会を

 私たち民主改革さいたま市議団の市議会レポート2022年春号では「誰一人取り残さないさいたま市」をテーマに、元ヤングケアラーの声や、福祉相談の現場について取り上げました。市民のお悩みを聞き、一緒に考える。時に議員は、支援のコーディネーター的な役割りを担うことがあります。生活や福祉に関する複合的な相談を当市議団に寄せてくださった女性のケースを、ご本人の許可を得て紹介します。

 「こんな母親であることがこの子に申し訳ない、心の内を相談する人が誰もいなくてつらかった」。そう話すのは市内在住のシングルマザーSさん。


 東北の高校を卒業後に上京。しかし、職場でのパワーハラスメントが原因で休職している間に会社がコロナ不況となり解雇。未婚のまま1人で出産しました。友人もなく、お金も底を尽き、区役所に相談に行きましたが、精神疾患があり働くこともできず、その時は自分が欲しい支援にたどり着くことができませんでした。
 彼女がひとり親世帯向けの食糧支援を探している時に偶然、わたくし佐伯とつながりました。「けっこう今キツイです」。彼女はひと言そういいました。何かできることはないか、気持ちは焦りましたが、最初は彼女との距離を縮められずにいました。
 「私、授乳するときにおっぱいが痛いんです。それで子どもにミルクをあげ始めたのですがあまり飲まなくて・・・」「体重が増えないので心配です。どうしたらいいのでしょうか」
 こうした質問には議員の私よりもむしろ、保健センターの職員や保育士さんなど専門職の人の方が的確にこたえられるのではないかと戸惑いを感じた一方で、どこにもつながっていない彼女の孤独を垣間見た気がして、相談先がわからず本当に困っている状況をまず何とかしなければという思いに駆られました。
 そこで会話を重ねながら関係性を構築し、彼女の支援を包括的に考えてもらえるよう区役所の福祉課に同行支援することになりました。
 同席したのは福祉課、支援課、保健センターの方々。私は彼女への「心の支援」が足りないと感じ、訪問看護を入れてはどうかと提案しました。精神疾患に特化した訪問看護は、精神や体調に波があったり不安を感じている方に、社会復帰のサポートをしてくれるものです。現在は週1回看護師が訪問し、胸の内を聞いてくれたり、おしゃべりしたりして過ごしているそうです。今は仕事も少しずつ初めて、「人の役に立つことがしたい」と気持ちも前向きです。

 10区役所の福祉課には6月1日から「福祉丸ごと相談窓口」が開設されます。

今回の彼女の相談のように、初期段階でいろいろな係や課をまたぎ、どこに相談したらいいかわからないような相談ができる場所です。また「子ども家庭総合支援拠点」という窓口もこの4月から10区役所の支援課内にできました。ひとり親での困りごと、育児での心配ごと、子どもといる時がつらい、虐待かもしれない、ヤングケアラーがいるなど子どもや家庭のことを何でも相談できる窓口です。
 「助けて」が言える社会を目指して。私たちはこれからも市政に提案を続けて参ります。(佐伯かずみ)


さいたま市議会6月定例会は6月1日開会。6月24日までの会期日程で条例議案や補正予算案を審査します。
一般質問は6、7、8日の3日間です。


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